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地方炭素税
工場と二酸化炭素
■地方自治体における炭素税の検討状況

炭素税は、石油・石炭等の化石燃料に課税し、地球温暖化を引き起こすCO2の排出を抑制するものです。すでに欧州の多くの国々が国レベルで導入しています。日本では、国も地方自治体もまだ導入していませんが、これまでに国内のいくつかの地方自治体は導入を検討しています。以下、地方自治体における検討状況を、国における検討との関連性も踏まえみていきます。

■北海道地球温暖化対策税〜地方自治体独自の法定外税としての炭素税の検討

北海道は「北海道地球温暖化対策税」を検討し、2002年3月に発表した「環境目的税の導入に向けた道の考え方」の中でその制度案を示しています。この資料によれば、暖房用にも大量に使われる灯油の他、産業用の重油や石炭等に北海道独自で課税し、約10億9000万円の税収を見込んでいます。使途を特定する法定外目的税として導入し、その税収はCO2排出削減のための新エネ・省エネ対策やCO2吸収固定源である森林の保護・育成に充てるとされています。

この税は、一人当たりCO2排出量が全国平均の約1.3倍となっている北海道において道民の温暖化防止の意識を高めCO2排出削減をはかる有効な手段とするとともに、環境先進地域としての北海道を全国にアピールすることも期待されていました。

しかし、この新税に対する道内の経済団体等の強い反発も報じられました。結局、02年6月30日付の北海道による資料は、この炭素税について「国において導入に向けた新たな動きがあった ことから、今後も国の動向を注視しながら進めていく必要があるため、時期を改めてご意見を伺って参りたい」とし、事実上構想は凍結されたものと考えられます。

■東京都温暖化対策税〜全国一律の地方税としての炭素税の検討

北海道が独自の炭素税導入を検討したのに対し、東京都は全国規模の地方税としての炭素税を検討しました。東京都税制調査会による2001年度答申「地方における新しい環境税制の構築」(01年12月)は、炭素税の制度として、次の3つのモデルを挙げています。

(A)同一の課税ポイント・課税標準を用いて、全国地方税と国税とを併課するモデル。地方が国税分も含めて徴収し、国に払い込む。

(B)全国地方税・国税の別個独立型モデル。国税は上流課税、地方税は下流課税で、課税ポイントによる棲み分けがおこなわれる。

(C)全国地方税のみのモデル。場合に応じて、税収の一部を地方から国へ譲与する。

これらは、地方自治体に課税主体の重心が置かれた全国規模の課税です。地方自治体による炭素税として、北海道の検討事例のように自治体の課税自主権を活用した独自の「法定外税としての炭素税」が考えられる一方、東京都の検討事例のように全国一律の「法定税としての炭素税」も、その選択肢として挙げることができます。

全国地方税としての炭素税について、東京都税制調査会の2001年度答申では、「地球温暖化問題は、地球規模の環境問題であり、地方自治体の区域を越えた問題であるが、地域に環境汚染の源があるという意味では地域の課題である」とし、温暖化対策税は全国ベースの地方税を主体とすべきである、としています。

また課税段階としては、流通・消費段階(下流)での課税を基本とし、炭素1トンあたり3,000円程度の課税とすること、既存の石油関連諸税に上乗せして課税することなどを指摘しています。また「地方税は国税と比較して徴税コストに問題がある」という意見に対しては、地方主権の税制を目指す限りにおいてある程度の徴税コストはやむを得ないものである、と反論しています。なお、都は、(A)〜(C)の中で、(C)の全国地方税のみのモデルを「最適」としています。

加えて03年11月、同税調は2003年度答申「課税自主権の確立にむけて」の中で、2003年8月に発表された環境省の炭素税の案 についても触れ、課税主体の面において異論を唱えています。それによれば、「地球温暖化問題については、国・地方を通じた取り組みが必要であるが、その施策の大部分を担っているのは地方自治体であり、温暖化対策税を導入する場合には、あくまでも地方を中心に据えて考え、地方税を主体として、全国ベースの地方税として構築すべきである」としています。

全国レベルでの環境保全の取り組み促進が必要とされる、炭素税のような環境税の場合、地方自治体独自の法定外税なのか全国規模の法定税なのかという問題、さらには、法定税とするとして地方税なのか国税なのかそのミックスなのかという問題が生じます。

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