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温暖化防止のための環境税
「炭素税」とは

工場の煙と二酸化炭素
■炭素税とは

「炭素税」は、環境破壊や資源の枯渇に対処する取り組みを促す「環境税」の一種であり、具体的には、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料に、炭素の含有量に応じて税金をかけて、化石燃料やそれを利用した製品の製造・使用の価格を引き上げることで需要を抑制し、結果としてCO2排出量を抑えるという経済的な政策手段です。

CO2排出削減に努力した企業や個人が得をし、努力を怠った企業や個人はそれなりの負担をすることになるという、環境保全への努力が報われる公平な仕組みだといえます。

■炭素税がなぜ必要か

地球の温暖化がこのまま進むと、2100年には最大5.8度地球の気温が上昇し、洪水や干ばつなどの異常気象が頻発して、人間の生活の基盤が失われてしまうといわれています。

地球の温暖化を防ぐためには、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを減らさなければならず、短期的には京都議定書の目標を達成し(日本は温室効果ガスの排出量を2008〜2012年に基礎年(原則1990年。ただし、HFCs、PFCs、SF6については1995年)比で6%削減)、長期的にはさらに大きな排出削減が必要となります。

しかし日本のCO2排出量の削減は進んでおらず、今の政府の政策だけでは不十分なことは明らかであり、京都議定書の目標を達成するためには、効果のある政策を早急に実施することが必要です。

■海外での動き、日本での動き

現在EUで考えられているのは、CO2排出量に応じて課税する炭素税(あるいはCO2税)に電気・エネルギー(熱)量に応じて課税するエネルギー税を組み合わせる手法です。実際には、フィンランド、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、イタリア、イギリスで、炭素税(あるいはCO2税)やエネルギー税が導入されています。

日本では、環境省が中心となって炭素税をはじめ様々な環境税について研究を行っており、炭素税を含む化石燃料への課税導入について検討段階にあり、早急な対応が必要であるといえます。

■炭素税導入によるCO2削減効果

炭素1トンあたり¥6,000の炭素税を導入した場合、直接の削減効果として、2010年には700万炭素トンのCO2削減が期待できます。これは京都議定書の基準年である1990年の日本の温室効果ガスの排出量の少なくとも2%に匹敵します。さらに以下の対策と合わせて実施することで、より大きな削減を期待することができます。

1.CO2排出の削減努力を行った企業に、税金の負担を軽くする奨励策の実施

2.道路建設や空港建設などに無駄に使われている予算を、温暖化対策の予算に振り向ける

■炭素税導入によるその他のメリット

1.環境への負荷の大きさによる価格差と、環境について考える大きなきっかけ
  CO2排出量に応じて化石燃料に炭素税をかけることで、化石燃料や化石燃料を多く使用した製品が高くなり、環境への負担が多いものと少ないものの間に価格差が生まれます。消費者は、それによって環境への負荷を知るきっかけとなり、地球温暖化防止が必要なことや、CO2削減が必要なことを知り行動を変えるきっかけともなります。
2.家庭の省エネ
  効率のよい家電や燃費のよい車、化石燃料を使わない素材の製品を選んだり、車や電化製品のムダな利用を控え、ガソリンや電気代を抑えようとします。
3.企業の省エネ
  省エネ型の機械に入れ替えたり、化石燃料を使わない素材への転換を図ったり、電気の使用を控えたり、エネルギーの利用にかかるコストを抑えようとします。

■私たちの提案する炭素税の特徴

1.CO2排出削減を奨励しつつ企業の負担を抑える〜CO2削減努力を行った企業の税負担を軽くする奨励策〜

炭素税はCO2排出の少ない企業や、CO2排出の少ない製品・サービスを提供する企業の発展を促し、環境保全を軸にした新たな日本経済再生の道を切り開く促進剤となり得ます。炭素税の負担が一定以上になる企業や輸出の多い企業には、あらかじめCO2を削減する計画を立てて実行することを条件に、炭素税による税の負担を軽くすることで、国際競争力を維持しつつ、確実なCO2削減を実現することができます。

2.経済と暮らしに配慮

炭素税の負担は、企業でも個人でも省エネを実践した分だけ減らすことができます。さらに、炭素税の税収を以下のように用いる仕組みにすれば経済や雇用への一助ともなり、個人への大きな負担にもなりません。

企業
雇用者数に応じて一律定額に減税(あるいは社会保険料の減額)をすれば、企業は地球温暖化対策を行いつつ、人件費の削減=雇用の維持・促進をはかることができます。
個人
国民に対しても一律に減税(あるいは社会保険料の減額)をすれば、エネルギー消費の多い家庭のみが負担増となり、エネルギー消費の少ない低所得者などは逆に負担減となり家計を圧迫することはありません。
具体例

炭素税(炭素1トン当たり¥6,000)を導入した場合、ガソリン価格は4円/リットル、灯油価格は4円/リットルのアップ

 {増額}--3人家族での増額は、年間¥6,000(車なし)〜¥9,000(車あり)
 {減額}--国民ひとりあたりの減額を\5,000とすれば、3人家族で¥15,000
 {トータル} --平均的な家庭では負担は増えません。

炭素税の税収について

炭素税は、価格効果でCO2排出削減を促すもので、税収の扱いは二次的なものです。炭素税の税収については、地球温暖化対策の予算とする方法もありますが、福祉対策など他の予算にするにしろ、他の環境税と同様に使い道の公平性の確保や、既得権益化の防止などの別の議論が生じます。税収の使途に関しては、導入の際の具体的な制度設計において十分な議論が必要です。


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