|   ■クリーン開発メカニズム(CDM)とは 
                  CDM(Certified Emission Reduction)とは、京都議定書に定められた京都メカニズムの一つです。 
                   先進国の政府や企業が途上国で温室効果ガス削減プロジェクトを行い、削減分をクレジットとして自国に持ち帰る仕組みです。途上国での削減を認めることで、先進国が国内で削減に取り組むよりも低コストでの削減が可能になる柔軟な措置であることから、柔軟性措置とも呼ばれています。また、CDMは、世界レベルでの 
                   「地球温暖化防止の取り組みを強化する」と同時に、 
                   「国際協力や持続可能な発展の実現に貢献する」ツールとして期待されています。 
                   京都議定書の第一約束期間(2008〜2012年)の温室効果ガス削減のために、CDMなどを通じた、途上国における温暖化の取り組みが活発化しています。 
                   JACSESは、適正な国際協力の推進に向けて、クリーン開発メカニズム(CDM)等、気候変動に対する国際協力の適正化・効果向上をはかります。CDMの課題/CDMと国際協力に関するJACSESの現状分析・提案はこちら。 
                   ■CDMによって創出されるクレジット
                   CDMは、「ベースライン&クレジット方式」に基づいています。 
                   CDMでは、まず、追加的な排出削減対策がなされていない現状の排出量をベースライン(基準)として設定します。 
                    このベースラインに対して、温室効果ガス削減プロジェクトを実施して得られた削減分が売買可能なクレジットとなります。 
                    CDMプロジェクトを実施して創出されるクレジットは、CER(Certified Emission 
                    Reduction)と呼ばれています。 
                   図のように、プロジェクト設計書とモニタリング報告書との整合性や排出削減量の算出等の検証や認証を経て、最終的に国連のCDM理事会によってCERが発行されます。 
                     
                   
                    図 CDM実施フローと持続可能な発展の取り扱い 
                  
                   プロジェクト参加者は、計画をプロジェクト設計書(Project Design Document:図ではPDDと表記)のフォーマットに従って記述し、ホスト国* 
                    ・投資国の承認を得た上で、指定運営組織(Designated Operational 
                    Entity:図ではDOE*と表記) によってCDMとしての要件を満たしているかどうかについて有効化審査(Validation)を受けます。審査を通過した後、CDM理事会によって承認されるとCDMプロジェクトとして登録されます。ここまでは、登録の段階であるため、クレジットは発行されません。 
                    次に、プロジェクトによる削減量を把握するため、さまざまなパラメータをモニタリングしながら実施し、そのモニタリング結果をDOE(基本的に有効化審査を実施したのとは異なるDOE)が検証します。これは、検証(Verification)と呼ばれ、その内容としては、プロジェクト設計書とモニタリング報告書との整合性や排出削減量の算出等の検証があります。 
                    DOEはその後、理事会に対して認証(Certification)と呼ばれるCERの発行を書面によって行い、最終的にCDM理事会によってCERが発行されます。発行されたCERは、京都議定書の締約国だけでなく、締約国からプロジェクトの参加の承認を得た民間団体または公的機関も購入ができます。 
                   *ホスト国:CDMにおいてプロジェクトを誘致する側の国(途上国)を指す
                   **DOE:CDMの審査機関。CDM理事会が認定し、京都議定書締約国会議が指定する。独立した第三者機関 CERは、京都メカニズムにおける国際排出量取引以外にも、例えば、欧州のEU−ETS、日本の排出量取引の国内統合市場の試行的実施において活用が認められています。日本にとっては、京都議定書の目標を達成するために重要な制度であるといえます。 
                    CDMプロジェクトによるクレジットの状況についてはこちら 
                   ■CDMの現状と課題 
                  先進国政府や企業は、CDMを推進してきましたが、CDMはいくつかの問題点を抱えています。 
                  例えば、CDMプロジェクトの中には、環境・社会問題を引き起こしていると海外のNGO等から指摘されるものもあります。つまり、質が悪く、途上国の持続可能な開発に貢献しないようなプロジェクトの存在が指摘されています。CDMが拡大していく中で、確かな削減を保証するためにも、更なる質のチェックが必要とされます。適切なチェックなしにCDMが拡大することは、避けなければなりません。 
                   
                  さらに、CDMを通じて、先進国の政府や企業は温室効果ガスの削減クレジットを買うことができるために、優先されるべき国内対策の実施が回避されてしまう恐れもあります。 
                    【CDMの現状についてもっとみてみる】 
                    【CDMの課題/CDMと国際協力に関するJACSESの現状分析・提案についてもっとみてみる】 
                   そこで、ジャクセスでは、 以下の目的でCDMに関する活動を行っています。
                   ■CDMに関するJACSESの活動の目的 
                  気候変動プロジェクトでは、第一に、悪質なCDMプロジェクトを防ぎ、良質のプロジェクトを推進することにより、途上国における温暖化対策の推進と持続可能な発展の実現に寄与することを目的とします。そして第二に、CDMのむやみな拡大を防ぐことによって、日本国内の温暖化対策促進に貢献することを目的とします。 
                  ■JACSESの政策提言活動 
                   JACSESでは、CDMと国際協力に関しての調査・研究を行ない、市民・産業界・政府などの各セクターの理解と取り組みを促進するためにシンポジウムやワークショップを開催し、書籍や報告書を発行していきます。JACSESでは、2009年に『カーボン・マーケットとCDM』を発行しました。 
                  ◇書籍  『カーボン・マーケットとCDM』 の詳細はこちら 
                      
                    ◇イベント  現在までに、気候変動と国際協力に関するテーマでイベントを実施してきました。イベントの詳細はこちら 
                  ■CDMの課題/CDMと国際協力に関するJACSESの現状分析・提案 
                  ■CDM/国際協力に関する用語解説はこちら 
                  *クリーン開発メカニズム(CDM)/国際協力のページは、「三井物産環境基金」及び「WWFエコパートナーズ事業」より、作成の一部を助成していただきました。 
                   
                  担当: 足立治郎
 
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