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ヨハネスブルグ・サミットの評価


ヨハネスブルグ・サミットの評価

  • 国際的な盛り上がり
    日本のメディアは連日WSSDに関する報道を行い、人々の認識・理解を高めた。しかし、地球環境の危機と貧困・南北問題に取り組む時代的期待が高まっていた92年地球サミット(UNCED)と比較すると、米国の新聞・雑誌を筆頭に世界のメディアの扱いは低く、持続可能な開発に対する国際的な機運を期待ほど盛り上げることができなかった。

  • 国際合意の中身
    持続可能な開発の実現のための「実施計画」「政治宣言」という2つの文書が合意されたことには意義がある。しかし、2つの環境国際条約(温暖化、生物多様性)・リオ宣言・アジェンダ21など「持続可能な開発」をキーワードとして21世紀の人類が目指すべき方向と課題が示されたUNCEDに比べ、その成果は明らかに少ない。(1)実施計画先進諸国の課題として「生産・消費パターンの変革」を目指す10年計画の策定がかろうじて盛り込まれたことは、今後各国で大量生産・消費・廃棄の矛盾を変革する契機としうる可能性をもつ。何とかリオの原点を維持し、WTO優位の表現を薄めることもできた。また、多国籍企業等の責任を問う主張が、薄められた表現ではあるが、いれられたことも評価できる。しかし、持続可能性への道標として、再生エネルギー推進のための達成目標は、ついに合意できなかった。(2)政治宣言UNCEDを引き継いでの課題にそれなりに言及している点は評価できるが、当たり障りのない表現に落ち着き、インパクトが少ない。

  • 露呈した問題
    自由貿易優先を掲げるWTO(世界貿易機関)への従属を促すような表現案さえ提出された。経済のグローバリゼーションにより生じる問題を真剣に議論し自由貿易ルールの吟味に真剣になる時期なのだが、それには失敗した。途上国への協力資金に関しては、絶対量の話に終始し、途上国への先進国の開発パターンの押しつけ、先進国の地域開発や公共事業の矛盾が海外へ移転していく恐れ、社会的弱者の排除・環境破壊の深刻化といった質的問題の議論は不十分であった。合意文書の作成過程でリオ宣言での基本的な立脚点(予防原則、共通で差異ある責任、参加など)すら消失しかねない抵抗を受ける状況で、ましてや「公正(富める力のある者と貧しく無力に置かれた者との乖離)」「平和・紛争(有事ないし潜在的な軍事化と平和への脅威)」「テクノロジー(原子力・バイオテクノロジー産業など)」といった現代社会が抱える大きな本質的問題を真摯に議論することはできなかった。

  • NGOの活動
    こうした状況を改善するために市民・NGOの役割が大きな鍵を握るが、率直に言って盛り上がりに欠けた。会場外での大きなデモはあったが、周到に管理された国際会議という側面が現出した。日本のNGOの活動も、専門分化した分野ごとの活動やロビー活動には進歩が見られたが、個別的批判をふまえた全体的な展望と政策提示には課題が残された。

  • 全体評価
    2002年のWSSDは、1992年のUNCEDの目標と方向性は確認されたものの、根本的な時代の危機認識を欠いたまま、かろうじて繕われたといえよう。

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