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西セティ水力発電事業のモニタリング


プロジェクト概要:

西セティ水力発電事業は、電力需要が急騰しているインド北部のエネルギーニーズを満たすために、ネパール西部に750メガワットの発電用ダム(提高195メートル)を建設するプロジェクトである。

事業者は豪州企業のSnowy Mountains Engineering Corporation(SMEC)で、事業予算12億ドル(約1400億円)。建設資金として、日本が最大のドナーであるアジア開発銀行(ADB)や中国輸出入銀行(Export and Import Bank of China)、中国銀行(Bank of China)、インドのInfrastructure Leasing and Financial Service(IL&FS)、中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China)等からの融資を想定している。

EIAによれば、1160世帯(9096人)が移転対象となっており、この移転規模はネパールの案件で過去最大である。

問題点:

西セティ水力発電事業では、以下のような問題点が見られる。

  • 情報公開の不備:ADB情報公開政策では、EIA及び住民移転計画書のドラフトの公開が要件となっているが、完成版の効果間近にも関わらず、これらのドラフトは公開されていない。
  • コンサルテーションの不備:事業者と住民とのミーティングは開かれたものの、住民が意見を表明する機会は与えられておらず、適切なコンサルテーションは開かれていない。
  • ADBも支持している世界ダム委員会の勧告で要件となっている「Free, Prior and Informed Consent (自由意志に基づいた、事前の、十分な情報開示の下での合意)」に反し、プロジェクトに関する幅広い住民の合意は得られていない。
  • 住民は事業者とのミーティングの際に、参加者名簿として署名したが、事業者は、これを合意の署名としている。
  • ADBの住民移転政策では、移転後の住民の生活を改善することが要件となっているが、環境や生活様式のまったく異なる平原部への移転は、生活が悪化する可能性が高い。
  • ADBの住民移転政策では、コミュニティが一体となって移転することが要件となっているが、移転予定地の平原部では一体となった土地が確保されておらず、コミュニティが崩壊する可能性が高い。

当センターの活動内容:

当センターでは、ADBをはじめとする融資機関に対し、適切な環境社会配慮と住民の幅広い合意が得られていない中での融資を行なわないことを求めて、現地調査及び提言活動を行なっています。

担当:田辺有輝

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